早朝チャイム

今朝、6時過ぎに玄関チャイムで起きた。

母が早朝徘徊‥?

と起きると、通行人ご夫婦が門扉下に倒れた父を発見してくれてた。

我が家は道路と門扉からポーチが3段あり、玄関ドアに行き着く。父は門扉に添うようにTシャツ、リハパンだけの着衣のまま転がり、ポーチ内にサンダルと脱いだ靴下が転がってる。

 

ご夫婦にお礼を言い、父を見下ろす。

おそらく門扉横のポストに新聞を取りに来て転倒したんだろう。

完全に横たわる父を起こすのは室内でも非常に困難。

しかもポーチの段差がある。

父「起こしてくれ」

「あ?簡単に言ってんじゃねーよ!その足!自分でも足を踏ん張れ!」

上体は抱え起こせても腰から下に全く力を入れない父。

「あたしは万能じゃねーんだよ!てめぇの力も使え!」

虫のように足を蠢かす父。

 

ヘルパー‥いや日曜日か。救急車?いやコロナで大変な中、こんなじーさんを室内に入れるために救急車は呼べない。通行人‥はまだ少ないし、相手が声かけてくれればともかく、感染対策を考えるととても頼めない。

自力で頑張るしかない。

 

「おら、左足!踏ん張れ!」

父を抱え起こしつつ叱咤激励。してたら、父の左足が門扉の下に食い込んでる。

「待て待て方向がおかしい。門扉の下に足はまってるから抜け!」

動かない。

ただでさえ蠢めくだけの足は、コントロールできないらしい。

わたしが足を引き出そうとするも、門扉が食い込んでる。

父「痛い痛い」

痛さから逃れるためか、ポーチ2段目に這いあがろうとする父。より食い込む門扉。

 

仕方ないから門扉を壊した_| ̄|○

 

ポーチ2段目に車椅子を降し、ポーチに設置してる手すりと車椅子の間に父を配置。父を2段目に引き上げ、尻をギリギリ椅子に乗せたあたりで母が起きて来た。

 

朝はいつも、夜中にリハパン脱いで履かない母と「パンツ履けや」とキレるわたしで「履いてる」「見せろ!履いてないじゃん」「パンツないのよ」「おめーの部屋に山と積んであるんだよ!行くよ!」と攻防がある。

 

しかし今日。父を抱えながら鬼気迫るわたしを見たからか、

「お母さんパンツは⁈」

母「パンツ、履いてない」

「履いてこいや!」

母「はーい」

‥やればできるんじゃねーか!!

 

なんとか車椅子に座らせた父。あと1段ポーチを上がらせねば。

ヒールサンダルをスニーカーに変え、巨体の父を乗せたまま車椅子で段差を上げる初体験。テコの原理で前輪を上げて‥

父「おい、どうするんだ!もうここでいいよ!」

「ああ?玄関前でパンツ晒しておめーはここで生きる気か⁈」

前輪が浮く車椅子に不安を感じ抵抗する父を怒鳴りつけ、かれこれ1時間、なんとか父を室内に設置できた‥。腰が死んだ。

 

元々、夏場は心身不調になる父。

今年は抗がん剤副作用もあるのか、なかなかヒドイ。一昨日は夜、椅子で長々うたた寝しており、

「また腰を痛めるからベッド行け」

と叩き起こすと、

父「目の前の糸を切ってくれ」

父の脳内には、自分の前を横切る糸が見えてるらしい。リアルにはそんなものない。

 

蜘蛛の糸かなー。頭の中は半分彼岸に行ってるのかなー。