本人に死刑宣告

先ほど、相変わらず立位が取れないのにベッドから起き上がり続ける父を制圧しながら、

「てめぇ殺すよ?殴り殺すか蹴り殺すか。今度床に転がったら殺されると思え。介護殺人なんざ珍しくもねぇんだよ」

と言った。

 

いやマジほんとこいつ。

 

ここ最近、自分では立位が取れない父。

が、もちろんそれを認知できない。昼は車椅子からずり落ち床に転がり垂れ流し。ベッドに寝かせりゃ勝手に降りて床に転がり垂れ流し。夜中は変わらずリハビリパンツ脱いでベッドに排尿。それから逃げるためベッドから降りて床に転がる。

一日中やってる。

朝、なんとか起こしてディサービスに送り出す。15時過ぎに帰宅して、わたしが17時過ぎに仕事終えるともう床の上。

 

昨年から続くこの事態、わたしの足腰はもう限界。

父自身をベッドまであげるには1時間以上、指示と叱咤を続けねばならない。

身体機能だけじゃなく、重度認知は「どうすれば自分の体がベッドに上がれるか」全く理解できない。

ベッド行け→床を履いテーブル側による。

そっちじゃねーよ!ベッドだよ!いちいち進路指導しなきゃならない。

ベッド上がれ→ベッド柵で囲まれた箇所で一生懸命座位になろうとする。

ケツの位置をずらせ!そこで踏ん張っても柵がある。ベッドの上には上がれねーだろうが!

一時が万事コレ。

 

父を見下し撃を飛ばし続けようやくベッドに上体が乗ったタイミングで、父の下半身をわたしが持ち上げるが、それだって腰に激痛。しかも1時間以上かかる。

仕事前や仕事の合間はそんな時間取れない。わたしが力任せに介助すれば短期解決するが、もうそんな気力も体力もない。

と言って、ある程度力任せに介助し「あとは自力でやれ」と任せると、秒で床に転がりオムツ脱いで放尿してる。最近毎日床に放尿。

死ね。マジ死ね。

 

今朝も床にいた。

午後、車椅子からずり落ちキッチン側でまた床に。

定期的に「てめぇ姿勢直せ!」と撃を飛ばさないと車椅子から落ちる。車椅子もベッドも落ちるんじゃ24時間監視しなきゃね。

もちろん、落ちて自分で戻れるならただの酔狂。

父は自分じゃ戻れず、わたしの心身を削り続ける。しかも床に転がる行動に「意味はない」。

 

はえ!はってベッドまで行け!」

父に指示を出す。今日も不穏徘徊が激しい母に、父の薬の分包を手伝わせながら父を監視。

「バカか?ベッド行けっつーの!戻ってくんな!」

ダイニングテーブルからベッドに這うも、うまく這えないとダイニングテーブルに履い戻る父。

父は全部コレ。できないことから逃げ続ける。

 

「おまえテーブルの足掴んで立てるのか?あ?立てるなら戻れ。どうなんだよ」

父「‥立てない」

「だからベッドに這えって言ってんだよ!」

 

時間をかけベッド脇まで這う父。 

ベッドには手すりや柵が複数ある。

「手すり使ってまずベッドに乗れ。ベッドから車椅子に戻るしかねーんだよ」

しかし前述のように、柵で囲まれた場所で上体を起こす父。

「そこじゃねーよ。ケツを後ろに移動しろ!」

母「えーなんで?」

はぁ。認知症ってそんなこともわからんようになるのか。

 

かなり放置したが埒開かず。

しかも父のオムツ、尿漏れしだした。

 

「早くベッド行けよ!汚ねぇジジィだな!ベッド上がればオムツ替えてやるから!」

言いながらも、膨大な薬を分包し続けるわたし。

しかし20分経っても一向に進まない事態。

「てめぇオムツ脱ぐなよ!ふざけんな!」

ベッドに上がるより、オムツを脱ぎたくなった父。こうなると一瞬目を離した隙にフルチンになる。

 

仕方なく痛む腰で床の父のオムツを替える。ベッド上ならどれほど楽か! 

父の脇に手を入れ、ベッド柵の合間まで引きずる。腰が‥痛い!

「おら、さっさと上がれ。今すぐ上がれ!朝も同じことやってんだよ!」

ノソノソ蠢く父。

なんで生きてんだろうね???

 

しかしベッドに上体を乗せたまま動かなくなる父。

叱咤しないとすぐ動きが止まる。

「おまえ自分は立てると思ってんだろ!立てねーよ!立てねーからこうなってんだよ!悔しかったらベッドに上がってみろ!」

蠢く。が、無理。

こんなことに毎回毎回1時間以上を費やす。

朝昼晩飯を作りシモの世話。父の汚染した洗濯物。母の徘徊、妄想。そしてこの身体と時間の搾取。馬鹿馬鹿しいにも程がある。

 

結果、わたしが父を抱え上げベッドに。

すぐさま車椅子に戻ろうとする父。

が、足がプルプルしてまともに立てないわけで。

「おら見ろよ。おまえの足はこんな状態なんだよ!いい加減理解しろや!いいか。2度とベッドや車椅子から落ちるな!特にベッドから降りるな!毎朝毎朝床に転がりやがって、どんだけ大変か!」

父「わかった」 

父のオムツの腰を持ち、力任せに車椅子に移乗させる。

 

で、そのあと仕事場の床に倒れたわたし。

母「ねー晩御飯作る人がいないから、お母さん探しに行く」

徘徊!

痛む腰と背を奮い立たせ晩飯を作る。すでにダイニングについて空気満々な父。

 

で、食後。

同じ手順で父をベッドに戻す。明日はわたしが立てないかもしれない腰の激痛。

秒で起きあがろうとする父。

「てめぇふざけんなよ!2度とベッドから降りるな!今どうやってベッドに乗ったか記憶にないのか?また床に転がる気か?」

わたしの罵倒で一度は横になる父。

 

最近、母の日記を再開した。

「じゃお母さん今日の日付は?‥おい!パンツ脱ぐな!」

今度はパンツ脱ぐ父。

「なんなんだよおまえ!おしっこしたのか?替えたいのか?」

父「替えたい」

痛む腰をかがめリハビリパンツを交換。全く汚れてないじゃねーか!

「汚れてねーんだよ!気狂いが!」

母「ねー日付はどこに書くの?」

毎日使ってるノートでも、母は毎日書き方がわからなくなる。

母と日記を書いているとまだ起きあがろうとする父。

 

そこで殺す発言。

するよねー。

 

「床に転がるなってなぁ8月から言い続けてんだよ!9ヶ月だよ!9ヶ月床に転がり続けるおまえを介助してんだよ!あ?このわたしの罵倒は近所中に聴こえてんだよ。わたしが歩いてるとみんな、お父さん大変ね。無理しないで施設入れなよ?て言ってくるわ。あんたそういうレベルなんだよ!てめぇだけが理解してないんだよ!」

「わたしの人生もキャリアも潰して床に転がりやがって、おまえ満足か?あ?理由があって起き上がる、パンツ脱ぐならこちらも手を貸すよ。でもおまえは理由もないし記憶もないんだよ!そんなキチガイに9ヶ月付き合ってる。そりゃ殺したくもならぁな」

起きあがろうとする父の胸元を指先で押さえながら言った。指先だけど、まぁ初めて手を出したとも言えますな。

 

で、数分。

イビキかいて寝始める父。

全部そう。これが認知症の不穏。問題行動に意味なんかない。わたしの多大な肉体心理時間的消耗を必要とする問題行動の収拾。でも本人は、本人たちには何の意味も理由もない。

単発ならまだしも、常同行動には殺意しか湧かない。

 

「で?日記書いた?」

母「書けないよぉー」

「だよねwいや、わたしが父に殺すって言ったって書いていいよ」

母「いいのー?」

しかしそれを書くスキルが母にはないんだな。

 

なにが腹立つって、TV前の椅子が車椅子に変わった程度で、昨年の夏〜秋とほぼ変わらず「床に転がる」こと。

ドネペジル、メマリー、クエチアピン、リスパダール‥こんな投薬してんのに?

こいつ、見切るしかないな。

 

しかしさすがに9ヶ月「床に転がるな」「オムツ脱ぐな」言っても理解できないとなると、手が出るよねー。