アルツハイマー新薬

本日、М先生の往診日。

先月在宅初診はバタバタしてて、前回はわたしが仕事で会えなかったけど、今日はゆっくり話せた。必然的に父の話に。

 

М先生とは、2010年の母の脳卒中時から13年の付き合い。

この5~6年、脚が悪い父は外出を嫌がり、わたしが母の通院に付き添い続けていた。

よって先生が知ってるのは13年~6年ほど昔の、ゴルフ話で盛り上がってた父。

先日、施設で撮った父の写真を見せた。

 

先生「変わりましたねぇ…。僕も年を取るはずですよ…」

「変わりました?顔が?あ、痩せたから??」

ずっと見てるから、もはや「変わった」と言われても分からないけど、13~6年前は父も70代。そりゃあ変わったか。

介護してるとナチュラルに「70代?若い!!!」と思ってしまう。

 

先生「いやだって、前は思わなかったけど、こうして今のお父さん見ると、娘さんとお父さん、顔が似てるなって思いますもん」

「先生、それどういう意味で言ってます?」

どういう意味?????

 

先生「いやいやいや…。でもねぇ、非常に細かいことまで訊いてくるクレバーなお父さんで…」

ああ、そういえば父は元々細かいタイプだったな~。

 

母の急性期、大学病院へ転院するコネを掴み「まずは大学病院の医師に逢って、よさそうならお母さんを転院させる。お父さんも行く?」と父を誘ったわたし。

が、父は熟考し続け腰が重い重い。

「大学病院なんだから、急性期に移動しなきゃ意味ないじゃん!わたし1人で先生に会ってくる」

父「いや待て。俺はあらゆる可能性を検討した上で動きたいんだ!」

「可能性を検討するために、大学病院の話を聴くんでしょうが!」

思考回路が真逆だ!と実感したから、今もよく覚えてる。

もちろんわたしは、父を引きずって大学病院に行き、検討の上でМ先生の治療を選んで今がある。

 

なぜ転院させたかったかと言えば、母がICUにいた時、

М先生「回復は無理でしょう。排泄は自力でできないでしょうし、おそらく寝た切り。食事も自分で摂れるかどうか。覚悟してください」

「でも、希望は0ではないですよね?」

と押し問答を繰り返し、М先生が大嫌いだったから。

(当時のわたしは、脳外急性期のセオリーを知らなかった…)

そのМ先生とこんなに長い付き合いになり、13年目の今年、先生が独立開業を言い出し、往診を頼み込む関係になるとは。

 

こういうパターンは少ないようで、指示書を受ける訪看さんたちにも、

「娘さん有言実行ですね…すごい」

と感心されるけど、父と違ってわたしはすべて勘。

 

そんなМ先生、

「僕も開業にあたって認知症を勉強してるんですよ」

と言ってたけど、さすが脳外。

精神科や脳神経内科とは微妙に切り口が違う。

話題のアルツハイマー新薬「レカネマブ」の詳細をかみ砕いて教えてくれた。

 

アルツハイマー認知症は、脳にアミロイドベータが蓄積することにより起きる。

レカネマブはそのアミロイドベータを取り除くらしい。

が、すでに壊れた脳神経細胞は回復できない。副作用として脳出血もある。

ゆえに投与後は、頻繁なMRI撮影が必要ならしい。

ふーん?

母は脳卒中前後は脳梗塞が頻発してる。脳出血…逆だからイケる?いや、そんな簡単じゃないか。

 

先生いわく、

両親が認知症だったりして自分に不安がある富裕層は、ペット検査(自費20万ほど)でアミロイドベータの蓄積を検査し、もしすでに蓄積していたら、早期にレカネマブ投与して認知症を防ぐ手段もあるだろうと。

ペット、昨年父の検査で通ったけど、自費だと20万なのか…。

 

そんな先生のクリニックのMRIは、アルツハイマー特有の海馬萎縮などがわかるソフトが入ってるそうだ。

一般のMRIより微細な萎縮が分かるんだろうな。

М先生「50代以上だったら検査できますよ」

先生、わたしに言ってる???

「でも、ペット検査でアミロイドベータの蓄積が発見出来ても、海馬萎縮が早期発見できても、50代からレカネマブ投与しMRI撮って予防できる富裕層じゃなければ、そんなの知らない方がいいかもですよ」

М先生「そうですねぇ。その場合は…脳トレ頑張るしかないですね~」

さらっと言う。

今までの母の認知症医(精神科)と視点が違い過ぎて、いつも面白いなぁと思う。

 

 

先月の初診時は、母の足腰が全く立たなかった。

この1か月は、多少立つようになった(だから徘徊、転倒危機が増えるけど)。

今ならタクシー移乗できそうなので、1月にクリニックへMRIを撮りに連れていくことにした。

魔の2月(22年2月は父を救急搬送、23年2月は母を救急搬送)前に、やるべきことをやっておきたい。これも勘。